『未知の世界から来た現代転移者 ― Jiro』 番外編
黒岩都市の外れにある小道は、普段ほとんど人が通らない場所だった。
商隊も通らず、冒険者たちの主要ルートでもない。
聞こえるのは草原を渡る風の音と、遠くの森から響く鳥のさえずりだけ――。
しかし、ある日の午後。
突然、道の中央で眩い白い光が爆発した。
轟――!!
強烈な光は周囲の森まで照らし出し、近くにいた小動物たちは一斉に逃げ出した。
数秒後。
光は徐々に消えていく。
そして、誰もいなかったはずの道の中央に、一人の青年が立っていた。
黒い短髪。
この世界とはまったく違う服装。
濃い色の上着に長ズボン、見慣れない素材の靴。
彼は戸惑った表情で周囲を見渡した。
「……ここは、どこだ?」
青年の名は――Jiro。
その頃。
黒岩の森付近で木の上に休んでいた小灰は、突然目を開いた。
何か異変を感じ取ったのだ。
次の瞬間。
小灰はすぐに黒岩都市の方向へ飛び去った。
しばらく後。
波太諾威はギルド近くで装備を整えていた。
そこへ小灰が勢いよく飛んできて、彼の周囲を何度も旋回する。
「どうした?」
小灰はすぐ森の外へ向かって飛び始めた。
まるで案内しているかのように。
波太諾威は少し眉をひそめ、その後を追った。
数十分後。
彼は人気のない小道へ辿り着く。
そして――Jiroを見つけた。
Jiroは道端に座り込み、混乱した様子で空を見上げていた。
やがてJiroも波太諾威に気づく。
短い沈黙の後、先に口を開いたのはJiroだった。
「えっと……ここって、どこなんですか?」
波太諾威は彼の奇妙な服装と、見慣れない持ち物を見つめる。
「……君、黒岩都市の人間じゃないな?」
Jiroは苦笑した。
「実は、自分でもどうしてここに来たのかわからないんです。」